青い空 aoisora kiyokku@globallink21.com

命を救うこと

もし、愛する我が子が命の淵にいたらどうするだろう。

きっと仕事が手につかず、心配で眠れない夜が続き、食事ものどを通らず、絶えず子のことを考えるだろう。できることならば自分の命と引き換えにと祈るだろう。
医師ではない私は、他にいったい何ができるのだろうか。

自分自身を殺すこと。仏教の言葉をかりると滅私という言葉がある。
自分のためではなく他者のために何かをすることはできる。
しかし人は親になり愛する子供に、初めて無償の愛を注ぐことができるという。
同じ愛を世界中の人が世界中の人に向けられたら、未来はあかるいのではないかと思う。

残念ながら、人は目の届かない者に対して、容易に敵対心を持つことができる。悲惨な出来事は、近くにいる人の身に起きなければ気にしない。
親戚や友達が住んでいる外国で暴動が起きてやっと心配し、どうか安全でいて欲しいと祈るでしょう。
邦人に被害が出た事件しか取り上げない報道。世界では今たくさんの紛争が起きているのに。
そこにはたくさんの人が苦しみや絶望の中で、行き場のない怒りを抱え神を呪っているかもしれない。
そこに親戚や知人がいるからではなく、同じ人類として心配しあえるようになったら、どんなに素敵なことだろう。

もしかしたら、何もできずに自分の無力さを嘆くだけかもしれない。一緒に涙を流し、苦しむことしかできないかもしれない。でも、絶望の淵から這い上がるのを側でじっと見守り待つことは、一番難しいことだと思う。

00.05.29


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