青い空 aoisora kiyokku@globallink21.com

犯罪

犯すという字は「けものへん」に「ハン」と書く。このハンは、はみ出す意味とある。
何からはみ出すのだろうか。
何を踏み越えるのだろうか。

犯罪とは道を外れることならば、その道はなんだろう。
社会は道を外れる行為をしたその人まで、道から追い出してはいないだろうか。
恨むべきは罪であり、行為者ではないはずである。
犯罪者を追い出すほど、その道は心の狭いものなのだろうか。
道を外れない者だけのものであるはずがない。

外れるという表現はあまり使いたくないが・・・

一人用の船に乗り、海から川を上り山の頂上へ行く。
みんな一人一人船に乗って。雨の日も風の日も。えっちらおっちら船を漕ぐ。
休む暇はない。手を止めたら流されてしまう。自らの手で漕ぎ続ける。
人それぞれ現在地は違うはず。目的地は同じ山。

犯罪を犯した人は、船から降ろされるのではなくて、海に戻るのだと思う。
ふりだしから。そして再び漕ぎはじめ、山を目指す。

しかし、人々は犯罪を犯した人を船から降ろそうとする。水のない乾いた陸に追いやろうとする。
社会から追い出し、極刑を望む。

風はみんなに吹く。雨もみんなに降る。太陽の光りもみんなに注ぐ。
それなのに、人間が同じ仲間を排除していいはずはない。社会から追い出していいはずはない。

犯罪をこれ以上犯させない為に、人々に課せられた仕事がある。
それは許すこと。
どうか許してほしい。

大切な命を守ることになる。だから許してほしい。
太陽はみんなに注がれて、雨の日も雲の上は晴れているのだから。

01.6.23


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